『共育の丘だより』は、2013年度に刊行されて以降、8年間も続き、今回で第14号を数えるまでになりました。当初は、旧・大学教育センターの諸活動を学内外に伝えること、さらには、学生スタッフによる編集を目指したことなど、当該組織の活動の見える化を目指し、企画提案し実現に漕ぎ着けたものでした。その精神は、2020年度の組織再編で創設された教学マネジメント室でも引き継がれ、今回が教学マネジメント室ニュースレターとしては、第2回目の刊行となります。

 コロナ禍ながら、オンラインを活用したFD・SD活動、さらには、学生スタッフ活動が例年以上に活発に行われました。ぜひご一読ください。

【『共育の丘だより』第14号URL】

http://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~otml/doc/CenterNewsLetter20210330.pdf

CenterNewsLetter20210330_ページ_1.jpg

 2021年3月26日(金)午後、共育ワークショップ2021「今、改めて『学生参画』について考えてみよう!」をオンライン開催し、学生スタッフによる司会進行で行われました。約50名の参加があり、全国から大学生、大学教職員のほか、高校教員など多様な方が参加されました。

 山口大学では、教員・職員・学生が協働して教育学習を充実していくことを目標に、共育ワークショップを2013年度から実施しています。その成果の一つとして、2017年3月には、全国学生祭典『学生FDサミット2017春』を山口大学主催で行いました。近年、我が国でも、国際的動向の影響を受けながら、教育の内部質保証の観点から、学生が教育システムの構成員として参画する動きが広がりつつあり、今回、改めて「学生参画」について考える機会を設けさせていただきました。

 当日は、我が国の大学教育において「学生参画」を推進してきた第一人者である富山大学 橋本 勝先生を講師にお招きし、富山大学1年生との対話型での基調講演のほか、本学の教学マネジメント室・学生スタッフ、共同獣医学部の学生代表経験者、さらには、宇都宮大学の学生発案型授業プロジェクトのリーダー学生による話題提供、さらには、フロアとの意見交換を通して、現状と課題を見つめながら、今後の学生参画を展望しました。

IMG_7316 (2).JPG

kyouikuws2021.jpg

教学マネジメント室では、教学IRおよび情報公表の強化をねらいとして、山口大学における教育成果・学修成果を分かりやすくまとめた『教学マネジメントDATA DIGEST2020』、さらには、大学全体・学位プログラム・授業科目レベルにおける主要指標を中心に構成した『教学マネジメントFACTBOOK2020』を新たに刊行しました。

この刊行については、令和2年度教育戦略経費の採択を受けての成果物となります。

どうぞ、ご一読くださいませ。

(URL(『教学マネジメントDATA DIGEST2020』)) 

http://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~otml/doc/data_digest2020_final.pdf

(URL(『教学マネジメントFACTBOOK2020』))

http://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~otml/doc/factbook2020_final.pdf

data_digest2020_final_ページ_1.jpgfactbook2020_final_ページ_01.jpg

教学マネジメント室では、文部科学省・大学教育再生加速プログラム(AP)での取組を継承して、『Teaching & Learning Catalog Vol.5 ~学びのガイドブック』を刊行しました。

今回は、従来のALベストティーチャー表彰を受賞された先生方の紹介に加えて、新たに、教学マネジメント室の学生スタッフの発案のもと、主に新1年生向けに、山口大学生の各学年での学生生活、さらには、宇部地区の工学部生や医学部生の学生生活の紹介に紙幅を割き、"学びのガイドブック"として構成しています。

ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。

(URL(『Teaching & Learning Catalog Vol.5 ~学びのガイドブック』))

http://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~otml/doc/tlc_vol5_final.pdf

tlc_vol5_final_ページ_1.jpg

 山口大学では、2014年度に文部科学省・大学教育再生加速プログラム(テーマⅠ・Ⅱ複合型)の採択を受け、テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」、テーマⅡ「学修成果の可視化」の取り組みを通して、①多様な学生すべてに対する能力育成を最大限支援する、②本学の教育システムを学生および社会に質保証できる、③本事業成果を積極的に情報発信し、我が国の高等教育全体の発展に貢献すること、を目指し、着実に成果を挙げてまいりました。

 2019年度までの事業期間中に、各授業科目におけるアクティブ・ラーニングの度合を見える化したALポイント認定制度、優れたアクティブ・ラーニング型授業実践を表彰するALベストティーチャ表彰制度、さらには、山口大学生が卒業時に身に付けておくべき汎用的能力「山口大学生コンピテンシー」の可視化などの取組を通して、学生の「学びの好循環」の創出を進めてきました。 

 このたび、2020年度に行われた文部科学省・大学教育再生加速プログラム(AP)事後評価において、2017年度の中間評価に続き、最高の「S評価」を受けました。「S評価」を受けたのは、全体では77件中20件、テーマⅠ・Ⅱ複合型では21件中5件という狭き門でした。今回、非常に高い評価をいただいたことを励みに、山口大学における教育改革の礎となり、さらなる充実に努めていきたいと思います。

 詳細は以下URLをご参照願います。

(事後評価結果総括及び一覧)

https://www.jsps.go.jp/j-ap/jigo_kekka.html

(山口大学・事後評価結果)

https://www.jsps.go.jp/j-ap/data/jigo_hyoka/kekka/r2-ap-jigokekka_20.pdf

 2021年3月3日(水)に、山口大学 令和2年度全学FD・SD講演会『教学マネジメントについて考える~「大学全体」「学位プログラム」「授業科目」レベルに着目して~』を、学内外から164名の参加者を集め、Zoomによるオンライン聴講及び吉田キャンパス・共通教育棟2階会議室による会場聴講を併用したハイブリット型セミナーにて開催した。オンライン聴講を可能としたため、北海道から沖縄にかけて全国各地の教職員が参加した。本講演会は、大学リーグやまぐちの主催で実施された。

 冒頭、松野 浩嗣 山口大学 理事・副学長(教育学生担当)・教学マネジメント室長より開会挨拶があり、教学マネジメントの重要性が謳われる中で、所属大学を超えた大学関係者の議論に期待が寄せられた。また、「山」が付く国立3大学が顔を揃え、有意義な交流を行いたい旨、発言があった。

 基調講演では、まず、山形大学 学術研究院 教授(教学マネジメント特別委員会委員)  浅野 茂 氏より、「山形大学における教学マネジメント ~教育ディレクター制度の深化とアセスメントへの挑戦~」と題して講演があった。各学科・専攻に配置された教育ディレクターとの連携により、カリキュラム・マッピングを通したカリキュラム・ポリシー(CP)及びディプロマ・ポリシー(DP)の妥当性を検証しながら、教育目標の可視化を図っている取組が紹介された。特に、教育目標の妥当性を強調し、そのことを通して初めて、学修成果測定の正確さが担保されると述べられた。また、学修成果のアセスメントの事例として、大学独自に開発した基盤力テストの取組状況について説明があった。

 次に、山梨大学 大学院総合研究部 工学域 電気電子情報工学系 教授(教育国際化推進機構大学教育センター長・学長補佐) 塙 雅典 氏より、「山梨大学における教学マネジメント ~内部質保証の実質化と自己点検・改善の定常化~」と題して講演があった。内部質保証システムの概要や実施体制について詳細な説明があり、大学独自に策定した教育環境及び教育内容の内部質保証基準に従って、2019年度に全学部、2020年度に全研究科を対象に「教育内容」の自己点検・評価を試行したことが紹介された。特に、自己点検・評価の4段階判定の目安や記入上の注意など、非常に参考となる内容が沢山盛り込まれていた。

 最後に、山口大学 理事・副学長(教育学生担当)・教学マネジメント室長 松野 浩嗣 氏より、「山口大学における教学マネジメント ~学部・研究科との関係性を重視したアクション~」と題して講演があった。山口大学では、2020年1月公表の『教学マネジメント指針』に忠実な取組を行っており、同年4月に創設した「教学マネジメント室」の構成や各教学組織との関係性を中心に、内部質保証体制や教学IRの整備や今後の取組の方向性について紹介があった。

 後半では、林 透 教学マネジメント室 副室長の進行のもと、参加者からのチャットによる質問に講師が回答する形で全体共有を行った。参加者からは「基盤力テストで測定できるものはDPを構成するさまざまな能力の一部かと思いますが、他の諸能力はどう評価されているのでしょうか。また、基盤力テストの結果を、カリキュラム改善や授業改善に結びつけるために、教員集団に対してどのようにフィードバックされていらっしゃいますでしょうか。」「2019年度、2020年度の試行を通して、どのような気づきがありましたか、良い点や課題がありましたか。」「教学マネジメント室という新設組織を設置した必要性やねらいについて、お教えください。」などの質問があった。各講師からは、山形大学の基盤力テストで測定している能力の範疇、山梨大学の教育課程ごとの自己点検・評価を通して見えてきたこと、山口大学の教学マネジメント室設置の意図などについて回答があった。

 参加者アンケート結果から満足度の高いセミナーとなり、今後も同様のオンラインによるFD・SD講演会を望むコメントが寄せられ、更なる充実を図っていくこととした。

【最終版アレンジ】全学FD・SD講演会チラシ20210118_ページ_1.jpg

 共通教育におけるアクティブ・ラーニング(以下、AL*)の授業実践に顕著な成果をあげた教員を表彰する「ALベストティーチャー」の第5回受賞の5科目・担当教員26名が選出されました。ALベストティーチャー表彰制度は、本学が2014年度に採択された文部科学省・大学教育再生加速プログラム(AP)の一環として2016年度に制定された制度で、シラバスのALポイント、学生授業評価、成績評価分布などを指標に審査し、受賞者を決定しています。その第5回受賞者の表彰式が2021年1月12日(火)の教育研究評議会の冒頭で行われました。
 表彰式では、岡正朗学長より、「大学教育ではアクティブ・ラーニングが益々大事な時代になっています。今回受賞を契機に、益々、より良い授業実践に励んでいただきたい。」との言葉が贈られ、出席した5名の教員に1人ずつ表彰状が手渡されました。
 なお、表彰式に先立ち、岡 学長、松野 副学長と表彰者との間で懇談会が開催されました。懇談では、受賞者の先生方から担当授業内容の説明があり、学長からSTEAM教育の重要性が指摘され、学生が主体的に考えるアクティブ・ラーニングが益々大事になってきていること、今後は各教員の授業録画を行ってFD等に活かしていくようにしたいことが述べられました。受賞者の先生方からは、高等学校教育がかなり変わってきている中で、大学教育での主体的な学びの促進が一層大事であること、ペアワークを通して学生同士が英語を面白く感じることに重点を置いていること、教員が伝えることの限界を学生に補ってもらうという捉え方で授業を行っていること、コロナ禍でのオンライン授業において学生からの質問等が増えたことに新たな気づきを得ていること、実験授業では担当教員間で常に内容の改善充実を図っていることなど、有意義な意見交換がなされました。

AL_pic1.jpg

AL_pic2.JPG

【HP掲載用】被表彰者一覧.jpg

 20201221日(月)に、大学リーグやまぐち・山口大学主催 大学マネジメントセミナー2020 inやまぐち『大学マネジメントのためのマインドセット』を、学内外から120名を超える参加者を集め、Zoomによるオンライン聴講及び吉田キャンパス・大学会館2階会議室による会場聴講を併用したハイブリット型セミナーにて開催した。オンライン聴講を可能としたため、東北から沖縄にかけて全国各地の教職員が参加した。本セミナーは、大学リーグやまぐち、山口大学の共同主催、大学マネジメント研究会、大学行政管理学会中国・四国地区研究会の共催で実施された。

 冒頭、多賀谷 勇治 山口大学 総務企画部長より開会挨拶があり、大学経営における教職協働の重要性が謳われる中で、所属大学を超えた大学関係者の議論や情報交流に期待が寄せられた。

 基調講演では、まず、関西大学管財局管財課職員 / 日本ピア・サポート学会理事 松田 優一 氏より、「ピア・サポートを通した学び合い・助け合い~学生支援と働き方について~」と題して講演があった。ピア・サポートは教育活動であって、対人援助の知識と技術を学び、実践することで、援助する方も援助される方も人間力を高めることができ、ボランティアとは異なる。日本では、いじめが社会問題化した1990年代から学校現場を中心にピア・サポートが注目され始め、今日では大学生支援にも活用され、広がりを見せている。ピア・サポートによる「自立を促し、エンパワーを生む」コンセプトは、大学教職員の働き方における協働意識に適用でき、大学マネジメント力の向上に役立つことを意識させる講演となった。

 次に、筑波大学研究推進部外部資金課主幹 / URA 池田 一郎 氏より、「ファンドレイジング意識を持った提案力・行動力とは?」と題して講演があった。ファンドレイジングの基本的な考え方を紹介しながら、大学等も広義の意味の"NPO"と捉えながら、学生を含めたステークホルダーのため、社会貢献のために、必要とされる資金を獲得し、新たなイノベーションを起こしていく意識や行動力の必要性を訴えた。筑波大学での具体的な取組事例を踏まえながら、聴く側にとって非常に説得力のある講演となった。

 最後に、大阪府立大学 副学長(統括) 高橋 哲也 氏より、「自律的な内部質保証を育むには~その仕組みづくりと意識づくりを学ぶ~」と題して講演があった。内部質保証の定義を説明しながら、学修成果についての内部質保証の主体はカリキュラムや卒業要件を決める学科であると強調した。その観点から、大阪府立大学では、ボトムアップでの議論を醸成する教育戦略室会議の設置や内部質保証のためのスタートアップ事業の導入を通して、学科が主体となった自律的な内部質保証体制の整備を進めている説明があり、各大学での関心テーマである自律的な内部質保証の確立にとって示唆に富む講演となった。

 後半では、林 透 教学マネジメント室 副室長の進行のもと、参加者からのチャットによる質問に講師が回答する形で全体共有を行った。参加者からは「大学職員に対して経営意識をどのように養っていったらよいのか」「ピア・サポートの取組を充実する上で、工夫している点はどのようなことか」「産学連携活動等が大学教員にとって評価に対象になっておらず、働きかけにくい側面があるが、どのように考えるか」「学修成果の効果的な測定方法のあり方」などの質問があった。各講師からは、「大学組織は複雑体であるが、まずは、自分の大学を良く知ることが大事であり、そこから色々なことが見えてくる」「学生から見て、教職員がナナメの立場から温かく対応することを通して、学生自身の自主性を育むようにする」「何のための研究なのか、誰のための研究なのかを起点に研究者自身や研究支援者が考えていくことが大事である」「学修成果の測定方法について、上から押し付けるのではなく、組織として納得感のあるものを導入・定着していく意識が大事である」とのコメントがあり、これからの大学マネジメントのためのマインドセットについて相互に考え、認識を強くする有意義な意見交換となった

 参加者アンケート結果から満足度の高いセミナーとなり、今後も同様のオンラインセミナーを望むコメントも寄せられ、更なる充実を図っていくこととした。 

pic2_20201221.JPG

pic1_20201221.JPG