山口大学におけるSTEAM教育

山口大学が定義するSTEAM人材とその教育

本学では、文理の枠にとらわれないSTEAM人材の養成に向けて検討を令和2年度より開始し、令和3年度には全学におけるSTEAM人材・教育の理念や目標等の定義を明確にし、共通教育および専門教育にSTEAM科目を設定することとした。

STEAM人材の定義

「S」「T」「E」「A」「M」を個別に扱うのではなく、これらをメタ的(総合的・俯瞰的)に捉えた論理的思考によって社会の課題解決を図り、イノベーションを人間中心に実行できる人材

STEAM教育の定義

STEAM人材となるのに必要とされる要素(身に付けるべき素養、スキル)を修得するための教育

第4期中期計画

本学は、STEAM人材育成を全学で取り組む教育の重要課題とし、第4期中期計画に以下のように掲げた。

特定の専攻分野に関する知見を持ちつつ、幅広い教養を身に付けたSTEAM人材を養成する。そのため、共通教育において基礎教養と幅広い思考法が修得できる教育プログラムを、専門教育では、学部内・学部間における文理横断・異分野連携による教育を実施する。また、多様な考えを理解し価値を創造できる人材を育成するために、STEAM教育で培った幅広い知見を活かし、地域社会における課題解決の実践に取り組むプロジェクト型学習(PBL)等を実施する。

設定したSTEAM教育を着実に実行するとともに、この教育を受けた学生が専門教育におけるPBL等を通じて、幅広い視野をもって社会の諸課題に取り組める人材の育成を図る。図1が上記定義と中期計画の全体的なイメージである。

STEAM人材 = イノベーションを人間中心に実行できる人材

図1 山口大学のSTEAM教育

STEAM教育とは

1990年代からアメリカ合衆国で用いられてきたSTEM概念を元に、Georgette Yakman が2006年に提唱し、普及させてきたもので、その意味は以下の通りである。

“Science & Technology, interpreted through Engineering & the Arts, all based in Mathematical elements” (エンジニアリングとアーツを通して解釈された科学・技術であり、それらは全て数学的要素を基礎としている。)

STEMは1990年代から全米科学財団(NSF)を中心に用いられるようになった語であるが、「S」「T」「E」「M」を総合することによる教育目標が明確でなく、それを埋めるためにYakmanはArtsを加え、「STEAM」を提唱した。Artsは「芸術」の意に解されることが多いが、「技芸」「学芸」あるいは「学問一般」という意味も持ち合わせている。これにより、価値中立的であった「STEM」を価値志向的な「STEAM」に進化させている。

(詳しくは 川崎教授(国際総合科学部)「STEAM教育とは」[ PDF ]を参照)