045 早期選考は、なぜいけないのか
2026.02.20
大学生の就職活動では「早期選考」と言う言葉があります。就職活動ルールである3年生の3月より前に選考がなされることであり、夏のインターンシップのあと年内に、あるいは、3月直前の1~2月に選考がなされ、内定が出ることが多いようです。数年前まではほんの一部の企業で行われていましたが、今年あたりは、多くの企業で行われているようです。学生たちの言葉からも、頻繁に登場するようになってきました。
早期選考には、批判があります。学業に専念させるべきだとか、そもそもルールは守らないのは良くないとか、いろいろ意見はありますが、
私は、早期選考は「若者のキャリア形成を阻害する」という点でよくないと思っています。「キャリア教育のじゃまをする」と言ってもいいかもしれません。
大学生の多くは、世の中を知りません。就職活動は「知らない」から「ちょっとわかった」へ移行する活動。長い調整期間に批判はあるものの、その期を通じて自分の適性や意思を確認し、歩む道を選んで行きます。探索期を経て若者たちは、今後の人生における重要な意思決定をしていくのです。早期選考はこの探索期に行われることになります。したがって学生は探索をおろそかにして選考に進んでいく現象が進んでいて、これはいいことだとは思えません。「決めなくていいんだ。決めるということは他を見なくなることだ」、早くから選考に進むことは、他の選択肢を見なくなることにつながります。これは、もったいない。その人のキャリア形成において、大学生の就職活動は様々な情報を得て世の中を知り、仕事の世界に落とし込む、非常に貴重な機会です。この探索期を大人たちは、ちゃんと応援したいです。
人生100年 時代と言われています。おそらく今の大学生はこれから80年間くらい仕事の世界を歩むことになる方が多いと思います。その重要な道を選ぶ第一歩です。その後、変化するかもしれません。変わってもいいのです。人生を歩んでいく基盤をつくるこの時期に、しっかりと世の中のことを探索してもらいましょう。
なかには早くから探索できて「もう道は決まった」という学生もいるかもしれません。そんな学生にこそ「いまいちど考えてごらん」と声をかけたいと思います。世の中を知って、多様な仕事の世界を学んでから決めていいんだよ。たとえ同じ結論であっても、その方がずっといい。そう伝えていきたいと思っています。
早期選考で数か月早く決めることが、その後の人生においての機会を逃すことになりかねません。
若者たちの大いなる探索活動を応援するそんな社会でありたいと思っています。就職活動の前はしっかりと探索してくださいね。そう言えるような余裕を持ちたいです。
● コラム019 大切にしたい、探索・探訪・探究
https://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~ss-web/column/019/
● 学生の自己探索の機会を産学みんなで守っていきたい(山口大学 平尾元彦)2024.11.19
識者に聞く「10年後の就職活動」Vol.15より 就職みらい研究所
https://shushokumirai.recruit.co.jp/column/20241119001/
キャリアセンターコラム 2026.2.20 平尾元彦
